定款の原則と構成

 定款は、合同会社の事業目的や事業活動を行う上で必要となる基本的なルールを定めたものです。合同会社を設立する際、規則に従った定款を作成しなければなりません。
 定款は、①絶対的記載事項、②相対的記載事項、③任意的記載事項から構成されています。
 ①絶対的記載事項とは、定款で必ず規定しなければならない事項で、記載がない場合、定款そのものが無効となります。
 ②相対的記載事項とは、定款に記載することで効力が生じる事項です。定款に記載しなくても定款の効力自体は失われません。
 ③任意的記載事項とは絶対的記載事項や任意的記載事項に当たらないものの、会社の運営上、定款に記載すべきと考えられる事項です。

 

絶対的記載事項
6種類
①商号
②目的
③本店の所在地(最小行政区画までで可)
④社員の氏名と住所
⑤社員が有限責任社員であること示す記載
⑥社員の出資の目的と出資の価額または評価の標準
相対的記載事項 ◇社員の中で業務を執行する社員を定める場合の定め
◇代表社員を定める場合の定め
◇出資の払い戻しの方法についての定め
◇解散事由についての定め
◇会社の存続期間の定め など
任意的記載事項 ◇公告の方法についての定め
◇事業年度
◇役員報酬についての定め など

 

合同会社定款見本

合同会社桜パートナーズ定款

第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は,合同会社桜パートナーズと称する。
(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1 インターネットのホームページの企画、設計、開発、販売、運用および保守に関する業務
2 広告代理店業
3 前各号に附帯する一切の業務
(本店の所在地)
第3条 当会社は,本店を神奈川県横浜市に置く。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は,官報に掲載してする。
(社員の氏名,住所,出資及び責任)
第5条 社員の氏名及び住所,出資の価額並びに責任は次のとおりである。
金50万円 神奈川県横浜市港北区岸根町234番地 有限責任社員 上田秀雄
(業務執行社員)
第6条 社員上田秀雄は,業務執行社員とし,当会社の業務を執行するものとする。
(代表社員)
第7条 代表社員は業務執行社員上田秀雄とする。
(営業年度)
第8条 当会社の営業年度は,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
2 前項にかかわらず、最初の営業年度に限り、設立の日から平成29年3月31日までとする。

以上,合同会社桜パートナーズの設立のため,この定款を作成し、社員が次に記名押印する。

平成28年9月1日

有限責任社員 上田 秀雄

商号

 会社の商号については、原則「商号選定自由の原則」がとられ、次の制限に反しない限り自由に決めることができます。

表示性・呼称性 「商号」は名称なので、文字をもって表示できなければなりません。また、呼称することができなければなりません。従って、図形・模様・紋様を用いることはできません。
商号単一の原則 会社は、例え数種の事業を行う場合においても、数個の商号を有することはできません。
名称使用制限 あたかも公共団体の組織を連想させるような商号や、法律上禁止されている場合(例えば「銀行」という商号は銀行法により使用できません)商号を登記できません。
公序良俗違反 公序良俗に違反する商号は使用できません。
文字使用制限 商号に使用できる文字-、日本文字、ローマ字、アラビア数字、その他の符号(& ’ .  -  ,  ・)に限られます。

 

本店所在地

定款に定められる本店の所在地は、独立の最小行政区画(市町村、東京23区は区)を記載します。
 

発起人の氏名、名称、住所

自然人だけではなく法人もなることができます。外国人や外国法人も発起人になれます。意思無能力者や行為無能力者、制限行為能力者も発起人になれますが、その場合は法定代理人によって代理される必要があります。
住所は、住民票に記載の住所を正確に記載します。必ず住民票を取り寄せた上で定款作成を行ってください。
 

社員全員が「有限責任社員」である

合同会社の社員は全員が「有限責任社員」です。従って定款にはその旨を明記します。ここでいう社員とは、一般に連想する社員ではありません。(社員=従業員ではありません)株式会社の株主に相当するものです。「有限責任」とは、出資の範囲で責任を負うということです。従って、出資した以上の債務を負うことはありません。
 

社員の出資の目的と出資の価額または評価の標準

最低資本金制度(規制)が廃止され、資本金1円からの会社設立が可能となりました。一般に資本金は金銭で行うものですが、パソコンなどの現物をもって出資することも可能です。(これを現物出資といいます)現物出資の場合、その財産の評価を適正に評価する必要があります。一般には時価や減価償却後の残存価額など第三者が納得できる評価方法を用います。

目的

 目的とは、会社が営もうとする事業の目的をいいます。
 従来、目的の記載については、①営利事業であること(営利性)②違法な事業でないこと(違法性)③事業の内容が客観的、正確に確定できる程度に明確かつ具体的であること(明瞭性、具体性)が求められており、定款の記載も複数の事業目的を列挙し、最後に「その他これに附帯する事業」と表示していました。
 現在では、③具体性は審査の対象外とされ、会社自らが判断し、仮に具体性の欠ける目的が定款に記載され公示されることで不利益が生じたとしても、会社が責任を負うものとされています。
 自由な記載が認められているからといっても、明瞭性は求められます。一般には国語辞典や現代用語辞典などに記載されている程度にその用語が浸透していれば問題ないと考えられています。
 
様々な事業別の「目的」サンプル集がネットで公開されています。ご参照ください。